正月明けすぐの解体工事の知らせというものは、とりわけグサリときました。
昨年初夏、れきけんさんの
坂本直行邸実測調査に参加させていただいた時、まもなく土地建物の権利が移行しますと聞いてはいました。ですから、解体を覚悟していたものの、正月ボケの不意を突かれたような気になったのです。
解体工事の様子を見ていると、実測調査の思い出がしみじみ沸いてきました。すでに無くなっている所、今まさに壊している所、もう二度と見ることはできないのです。でも、その寸法が頭に入っていればこそ、私には容易く目の前に浮かび上がらせることができるようになったのです。
寸法や各部の収まりに込めた田上先生の狙い、建物が壊れ少しづつ小さくなっていくと共にますます深く心に刻まれるような、そのようなありがたい気持ちが芽生えたのは初めてでした。