イモ積みのレンガ塀
1980年、元々アメリカ領事館のあった場所に日本出版販売北海道支店の社屋が建設されました。設計を担当した上野建築デザイン事務所は、高さを抑えて平べったい形にし、アメリカ領事館の解体で発生したレンガと米沢レンガ工場の古い窯の解体材を混ぜて塀に使ったそうです。
上場企業の社屋というものは高さを競うはずだという凝り固まった考えは見事に打ち砕かれ、解体材を活かすことで真新しい建物に延々と続く時間性が付け加えられました。恐らく、庭木のいくつかも領事館時代からのものではなかったでしょうか?この建物に第1回札幌市都市景観賞を与えた札幌市、なかなかやりますね。
目立とう精神がはびこっていた時代に、こんな落ち着き払った建築が生まれるということ。建築デザインというものは、やっぱり素晴らしいと再認識させられるのです。
日販の最後の姿をながめていますと、左隣にある1歳年長の北1条教会に「一足先にいってます。」と挨拶しているように見えたのでありました。