札幌市創建100年記念誌より
北海道ビルが建つ前、そこに何があったのでしょうか。古い地図を開いてみると、紙店や時計店、喫茶店に歯科医院、さらには理研計器札幌支店などの小さな建物が軒を並べ、山形屋旅館が北1条西14丁目に移った後も残っていた建物を飲食店として活用したものも確認できました。この頃の札幌駅前通りは、ひしめく木造建築が鉄筋コンクリート造のビルに置き換えられ始めた時代でした。ビルの建設を手掛けたい建設会社は受注競争にひた走ったことでしょう。建主や見込み客への営業や接待だけでなく、テクニカルな仕掛けも行ったようです。竹中工務店の都筑支店長は時計店の店主を説き伏せて、その権利をあらかじめ手に入れていたそうです。ここに新しいビルを建てようと企画した三菱地所は、建設予定地の一部が既に竹中工務店のものになっていることを知ったのです。こうして竹中工務店は自動的に建設の受注ができたそうです。