失われた建築

lost/2013

道立文書館分館

2013年
解体

2013.04.01

札幌市中央区北1条西5丁目1-2

2013年 既存を残しつつ改修

1926年

北海道庁建築課
 「道は12月18日、道立文書館分館を菓子製造販売の「北菓楼」へ売却することを決めた。」という新聞記事がでました。
 外観の意匠を残しつつ再生させる事、という売却条件が発表されて以来、その行方を見守っていたのですが、記事を読んでほっとしました。この企画が頓挫して解体されるようなことになれば、いやそれよりも、とんでもない外観に改修されて残り続けるのではないかと心配で夜も寝られなかったのです。

現在の姿 ウィキペディアより

完成予想図 北海道新聞 2013年12月19日より

 主屋の屋根は取り除かれ、塔屋にはピラミッド屋根が復活します。この姿こそ、設計時に実現したかった外観であるに違いありません。積雪問題に対処した結果、主屋は勾配屋根で完成、塔屋は後になってから改修してピラミッドを撤去したようなのです。この辺りのいきさつを知りたいのですが、どなたか研究されているのでしょうか。

 ところで、北菓楼の「楼」という漢字は、高い建物や遊女屋にも使われます。再生の設計の狙いが、こっちの方向に進まなくて良かったと胸を撫で下ろします。解釈を誤ると、塔屋の上に時計塔を付けるとか雪ダルマを乗せるとか、はたまた寺社風の屋根を被せるとかになったかもしれません。

 再生の設計担当者と北菓楼さんは、オリジナルの姿に敬意を払う良心の持ち主だったようです。
 しかし、まだ安心はできません。
 計画通りに完成するまでは。


後日談
 この記事をアップした時、まだ安藤忠雄さんの名前は出ていませんでした。
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