失われた建築

lost/2015

菱和自動車ショールーム (現 北海道三菱自動車販売南支店)

2015年
解体

2015.04.15

札幌市中央区南10条西10丁目2-23

2015年 解体(2015年4月8日)

1964年

栄建築設計事務所

1964年 竣工時 「春の雪 栄米治遺稿と追憶の日々」より

在りし日の姿

2015年4月 解体準備

 明治37年生まれ、旧東京美術学校建築科を卒業後、樺太庁技師から北海道電力土木部建築科を経て、栄建築設計事務所を立ち上げた栄米治さん60歳の時の作品です。
 頭のボリュームの大きさとそれを支えた鉄骨の三本足に惹きつけられ、記録だけはとっておきました。ある日、栄さんの追悼誌に掲載されていた作品年譜にこの建物の竣工写真を見つけました。だいたい、増築・改修工事というものは、オリジナルの魅力を殺してしまうようです。

東面

北から正面のお顔

門のサインデザイン

 跳ね出した頭を支えた姿は上遠野先生の栗谷川邸からの影響かなと気になりました。東面から眺めると頭のボリュームは片流れ屋根になっているのですが、西面から見ると四角い立ち上がりになっており、このつじつまをどんな風に処理されていたのか確認することができませんでした。

 正面のお顔は、何となく札幌市民会館に似ています。コルトの立て看板は平らでなく、でこぼこにデザインされていますが、ここにも札幌市民会館の雰囲気が見て取れます。栗谷川邸×札幌市民会館かと簡単にまとめてしまえば、天国の栄さんから怒られるでしょう。
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