失われた建築

lost/2018

第2三谷ビル

2018年
解体

2018.09.01

札幌市中央区南1条西6丁目

2018年 解体

1963年

岡田設計

佐藤工業

北面

西面

 昭和のクラシックビルがどんどん消えていっています。第2三谷ビルは、役所や学校などの設計を得意としていた岡田設計が手がけられた民間のテナントビルです。このビルの最大の特徴は、やはり、北面の路面電車の通る南1条側のファサードです。

北面詳細

裏口の南面

 ガラスをはめ込んだアルミのフレームが、軽快なデザインです。ですから、下から見上げたガラス窓の中には、がっしりとした鉄筋コンクリートの柱と梁が透けて見えるのです。竣工当時なら、このようなカーテンウォールにしてみたいという設計者の狙いもなかなか理解されなかったのではないでしょうか。

こんなデザインが美しいって?
なんか骸骨模型みたいだな・・・。
ビルの外壁というものは、タイルを貼って重厚に作るものじゃないのか?
そしてそれが、北国の風土にも適っているのじゃないか、と。

 最近でこそ、外部から床スラブも透かせて見せ、足元から全てガラスで丸見え状態のビルも多いですが、札幌での元祖は第2三谷ビルだったのではないでしょうか。

階段踊り場の階数表示サイン

1階廊下の集合ポスト

フロア案内板

 各フロアのペンキ仕上げの廊下には、小さな雑貨屋や中古レコード店、事務所などが並んでいました。お目当ての店にクラシックなドアノブを回して入るという行為が、何ともいえず懐かしい心温まる気持ちとさせてくれたものでした。
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