失われた建築

lost/2018

宮本ビル

2018年
解体

2018.10.01

札幌市中央区南2条西1丁目

2018年 解体

1961年

岡田設計・構想建築

東急建設

北西角の正面

北面のサインがかわいらしい

玄関

 宮本ビルも解体されました。外壁にパネル貼りされる前の竣工当初の外観がとてもカッコ良かったはずなのですが、写真もないし、どんな風だったか思い出せません。そういえば確かバブル時代に、このビルの地下1階に「CAFE ZINC」という喫茶店がありました。床も壁も天井もコンクリートむき出しで、真っ黒いテーブルとイスだけの空間でした。古びたビルの中に最先端の喫茶店が対比的にあったこと、そうした意外性に惹かれました。

階段室

 昭和のビルには、例外なく手抜きなしの階段があります。施工の面倒なところであり、まじめに工事をやったかバレる場所でもあります。ここにお金をかけたかどうかで、施主がどのような人か推し量ることもなかなか趣き深いことでした。

謎な配置の男女トイレ

 宮本ビルは共用廊下の壁が塗りなのか吹き付けなのか、ザラザラとした仕上げとなっていました。オリジナルのままかどうかはわかりませんが、職人の手間跡の残る、ひび割れひとつない美しさに見惚れてしまいました。そうした廊下の片隅でタバコをふかすことのできる幸せ、ここなら一層美味かったことでしょう。

喫煙スペース



Top