失われた建築

lost/2018

電電公社 札幌電気通信学園

2018年
解体

2018.12.20

札幌市中央区南22~23条西7丁目

2018年 解体

小講堂

東宿泊棟

体育館

 現在取り壊し中のNTT北海道セミナーセンタは、元々電電公社時代に建設された札幌電気通信学園の校舎、施設群ということです。2町角もある敷地に、研修棟をはじめ、様々な建物が建っています。私をうっとりさせるのは、初期に建てられたであろう小講堂、東宿泊棟、体育館です。逓信省時代から引き続く、エリートの香り漂う設計。無難なデザインで良しとはしませんよという姿勢が感じられます。

 コンクリートブロック造の平べったい小講堂は、ぐるっと回った庇によって、痛みが見られません。東宿泊棟の角は、引っ込められたデザインでコンクリートが露わにされています。空から眺めると「井」の形になっているのですが、10年前に解体された西岡の施設も類似のデザインでした。上半身は和風の味付けの体育館、腰下はコンクリート板仕上げとなっており、屋根から落ち溜まる雪から室内を守っているようです。コンクリートの冷たさがそのまま内部に伝わるようなミスは、絶対に無かったでしょう。

 施設を取り囲むスチールの柵、この柵にもデザインの細やかさが光っていました。あくまでも控えめなデザイン、しかし細部を見つめれば見つめる程、引き込まれていくのです。
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