失われた建築

lost/2019

N邸

2019年
解体

2019.09.07

札幌市中央区宮ヶ丘

2019年 解体

1975くらい?年

在りし日のN邸

解体中

解体中

 北海道神宮の正面という場所柄、気になっていた建築マニアも多かったと思うN邸。ひと気のない雰囲気がずっと続いていたので、いつ解体されるのかと気になっていました。今年の春、解体業者と思しき1人の男性が門の前で腕組しながら建物を眺めている姿を見かけ、時は迫ったと覚悟しました。

 この住宅の見所、最大のポイントは、1階リビングの連続窓です。7mもの幅、そして床から天井まで全てがサッシなのです。下がり壁を無くし、サッシを軒天井へ直接ブスッとはめた様子がすっきりシンプルです。リビングに居ながらテラスとの一体感を、そして庭を通して見える神宮の杜を借景とすることを狙っていたのでしょう。一方、西側は道路に面して閉ざし、壁で魅せるという時代感覚を体現し、南西角に鋭くコーナーサッシでアクセントをつけているところにも惹きつけられます。青いタイルの貼り詰められた塔屋、ひょっとして3層の蔵か、いやいや素直に階段室かと思ってみましたが、ついにその謎も解けずじまいに終わってしまいました。
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