失われた建築

lost/2019

鴨鴨堂

2019年
解体

2019.10.10

札幌市中央区南8条西2丁目

2019年 解体

1925くらい?年

在りし日の鴨鴨堂 グーグルストリートビュー2018年より

2013年 鴨鴨堂になる前の外観

解体中

 鴨鴨堂が解体されてしまうという噂話が聞こえてきました。
 店主の石川圭子さんに事情を聞いてみたかったのですが、なんとなくやめておきました。10月になって、石川さんの仲間たち自身の手で丁寧に解体をされるというので、こっそり写真を撮りに行きました。

 世の石川ファンには羨ましがられると思いますが、彼女が保存相談のためにこの家に初めて入った歴史的瞬間、なんと私も御一緒させていただいていました。保存の方法が思いつかないまま振り返って彼女を見てみますと、彼女らしい人懐っこい顔でオーナーさんと楽しそうに話をしているではありませんか。最初は諦め顔だったオーナーさんも、帰るころには明るい顔になっていました。

 しばらくして「私が使わせてもらうことになっちゃった。」と石川さんから電話をもらいました。どういうことかと現地へ行ってみますと、ギャラリーをつくるためだと言って大工さんやら電気屋さん、設備屋さんやらが作業を始めていました。奉仕活動のようにどんどん集まってくる人達を見て、彼女の人を惹きつける力に驚きました。その後の彼女のご活躍は、皆さんご承知の通りであります。

 ところで、鴨鴨堂には気になる点がありました。赤丸で囲った部分、建ち上がった時はこんな形ではなかったはずです。恐らく、昭和初期の鴨々川は今のような姿ではなく、普段はもっと細い川だったのではないでしょうか?何度か氾濫したことがあるという鴨々川、後になってその対策に川幅を広げたのでしょう。建物ギリギリにまで迫った護岸工事、そこに引っかかってしまった部分を削り取ったのでしょうか?
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