失われた建築

lost/2019

札幌市中央体育館

2019年
解体

2019.12.25

札幌市中央区大通東5丁目

1966年

久米建築事務所

松村組
 北広島市に建設中のボールパークを見て、注目させられたのが三角屋根の形です。その屋根がスライドするというのです。三角屋根を採用してわざわざスライドさせるとは、道外の建築家の発想に違いないと思いました。


 そして同時に、札幌市中央体育館のことを思い出しました。
 あの体育館の両側には、三角屋根からの落雪被害を防ぐため、屋根まで届く鋼製の柵が設置されていました。私の子供時代、落雪の下敷きになったというニュースは珍しいことではありませんでした。親や学校からは、家の屋根の下は危ないから行くんでないよときつく言いつけられたものです。そして無くならない落雪事故に対し、屋根の改造を行ったり、新築住宅では無落雪屋根タイプのものが増え始めました。もう一つはこの札幌市中央体育館のように、鋼製の柵を建てて苦し紛れの対処も多く見られました。

 札幌市中央体育館を今までウェブに載せていなかったのは、鋼製の柵に北国の憂鬱が湧いてくるからだったのかもしれません。解体工事もチラとしか見ませんでした。こんなこともあって、久しぶりの三角屋根の新築公共物件に楽しみな気になってきました。
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