失われた建築

lost/2020

第一生命ビル

2020年
解体

2020.12.15

札幌市中央区北3条西4丁目

2020年 解体中

1955年

竹中工務店 北海道営業所

同上

「北海道の建築」日本建築学会北海道支部 昭和32年 より

解体前と解体開始時

 竹中工務店北海道支店は、1947(S22)年に狸小路5丁目にあった札幌日活館の改修工事のために北海道出張所を構え、スタートを切ったそうです。その後は毎年10件に満たない工事件数でしたが、1955(S30)年以降、時勢にも乗って急成長をすることになります。第一生命ビルは、竹中工務店北海道支店にとって飛躍のきっかけの年に請けた記念すべき大型物件です。

非常階段(6~7F部分)とエントランスホール

 建設当初は6階建てだったものを2年後の1957(S32)年に9階建てに増築しました。私の興味は、6階から7階にかけての踊り場に増築時の跡形を見つけることです。しかし、非常階段の壁面を見てもそんな跡は見つけられなく、7階へ同じデザインが続いていく手摺や階段をちょっとがっかりした気持ちで眺めたのでした。
 エレベーターが当時のままかどうかはわかりませんが、シンプルなデザインが好ましいです。また、各所に埋め込まれた消火栓はレトロなまま、よく管理されているようでした。


 ところでこの第一生命ビルには、ちょっとした秘密があると伝え聞いたことがあります。ビルが歩道にちょっとだけはみ出しているというのです。ビル建設当時の札幌市道路台帳によると交差点角度が90度となっているにも関わらず、実際には正確な90度ではなかったという理由だそうです。


 どういうことなのか確かめに行きました。
 第一生命ビルと歩道、西隣にある日本生命ビルと歩道、それぞれの境界には確かに違いがあります。第一生命ビルの方が歩道に対して少し出っ張っています。9cm出っ張っているという話が、この部分についての話かどうかは今となっては確認できませんが、この違いは9cmくらいに見えます。


 新しい第一生命ビルの境界が日本生命ビルのものと揃ったならば、この謎は解決されましょう。完成予定の2022年度を楽しみに待つとしましょう。
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