失われた建築

lost/2020

富樫ビル (現 プリヴィ)

2020年
解体

2020.12.31

札幌市中央区南2条西2丁目

2020年 解体

1967年

三菱地所

東海興業
 バブル時代の頃、「プールバー」という酒を飲みつつ球を突くことができるというビリヤード場が流行り、このビルにもありました。高校生だった私も何度か突きに行った記憶があります。

ウォールアート(作 舟橋全二)の掲げられたプリヴィ外観商店建築増刊 商業ビル1985 より

 その時にはもうすでに「プリヴィ」という名のビルに変わっていまして、このビル下半分が薄い外壁に包まれていました。その外壁には現代風のイラストが大きく掲げられていたのですが、これがまたインパクト十分な企てだったのです。通常、芸術作品というものは美術館の壁に掛けられたものをお行儀よく見学するというのが当たり前だった中、そのような壁が拡大して街へ登場したような錯覚に陥ったものです。ビル全体を包まずに上半分に元のビルを露出させて対比したところには、デザイナーの意図が表れているようでした。この仕事も例のOさんの跡だったのです。

 また、右隣にあったオカダビルの凸凹感との対比にも惹きつけられたものでした。
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