失われた建築

lost/2022

4丁目プラザ

2022年
解体

2022.04.08

札幌市中央区南1条西4丁目

1971年

石本建築事務所

鹿島建設・竹中工務店

2021年4月

 私の同期、4丁目プラザが解体され始めました。

 札幌の百貨店建築は、1969年にコスモ、1970年にエイト、1971年にこの4丁目プラザと斜向かいの三越が増床オープン、1973年の東急百貨店と池内の増床、1974年のマルサや札幌松坂屋、1975年のパルコや丸井大通館オープンと数年間のうちにどんどんと立ち上がり、街の様子が大きく様変わりしました。

 4丁目プラザは札幌駅前通りの拡幅工事に伴い、近隣の小売店が集まった寄合百貨店として完成したとのことです。

 私と同世代以上ならそれぞれのデパートに思い出があるでしょう。4丁目プラザの私個人の思い出は、地下にあった蕎麦屋「一茶庵」です。小学校に上がる前の私は、買い物好きな母にくっついてよく街へ出かけました。そしてコスモデパートの「さんかね」に勤めていた父の昼食休憩に同行して家族で通ったのが、この蕎麦屋でした。「一茶庵」は「ごまそば」という当時としては変わった蕎麦を提供していたのですが、私はそれを普通の蕎麦と思い込んでしまったわけです。私の子供時代、香りのほとんどしない細いウドンのような蕎麦が身の回りにあふれていたせいで、「ごまそば」の風味が強く印象に残ったのでしょう。その思い込みから抜け出して更科蕎麦のおいしさを知るのに相当な時間がかかってしまいました。

2022年3月 解体開始

 私にとって4丁目プラザは「一茶庵」なのです。「八雲」ではなく。
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