失われた建築

lost/2023

中心街デパート(現 PIVOT)

2023年
解体

2023.05.20

札幌市中央区南2条西4丁目

1968年

不明

鹿島建設
 1968年に竣工した中心街デパート。
 札幌市は、1961年に公布された「公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律」に則って札幌駅前通りのうち南1条から南4条までの間の道路拡幅整備を行いました。この中心街デパートは3番目に適用され、第3市街地改造ビルとして建設されたものだったそうです。第1は札幌信用金庫本店・丸実ビル、第2は川中スポーツの入る川中・川人ビル、第4にエイトビル、第5にシルバービルと続きました。

カラー写真「開拓の凱歌」さっぽろ文庫21 札幌の彫刻より
モノクロ写真月刊さっぽろ昭和43年11月号より

 私の思い出深い記憶は、ビル角にあったオバラスポーツに飾られていた巨大な「開拓の凱歌」です。紺や灰色の重々しいタイル貼りの外壁の中、金色のレリーフが独特の存在感でした。小原社長が彫刻家 梁川剛一さんに依頼したものだったそうです。これが無ければかなり地味なビルだったと思われ、レリーフは小原社長の対処だったのか、もしくはレリーフを目立たせるための意図的なタイル色だったのかと想像がやみません。

Google Earth 20220729より

 中心街デパートは竣工後しばらくして西側へ増築されました。ところが、駅前通り側も竣工時と比べると大きくなっている(赤丸印)ことがわかります。はてな、これはPIVOTへ変わる時に増築したのかなと思っておりました。試しにGoogle Earthで空から眺めてみましたら、その部分はどうも外壁だけが組まれた空洞のようなのです。閉館後に気がついたことなので、内部から確かめることもできないのでした...。

セントラルホビー 1985年竣工 設計 勇田常夫設計室

 さて中心街デパートは、隣に建つセントラルホビー(現Pentagramビル)を含めて解体されるそうです。新しいプラモデル専門店としてこのビルが登場した時には既に私のプラモデル趣味は消えていたのですが、お洒落な外観に誘われてふらりと入ってみたことがあります。確か内部には螺旋階段のような細い階段があって、整頓された商品や高価な工作道具の数々に大人向けの店だなあと感じたものでした。
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