解体中 2017年
ホッケン研の訪問取材ターゲット先であったのに、手遅れとなってしまったT邸。
湿地帯にある遊歩道のようなアプローチを玄関に引き込ませています。外壁面には、アプローチの反転形がそのまま映しこまれています。水面の光る細い川をちゃぷちゃぷ歩くがごとく、壁面を歩く私の姿が幻想のように浮かんできます。
この住宅は、どうして外部に対して閉じていたのでしょうか。私の幻想がその謎を解いてくれました。どうせなら小さな2つの窓も無しにしてくれれば、遊歩道と光る小川を表現した外観なのだとすぐに理解できたことでしょう。
ところでこの直方体の内部は、上がったり下がったりを導くスキップ空間だったようです。小野氏から送られた解体中の写真を見て、その断面を拝むことができました。
ホッケン研の諸君、来年からは躊躇なく玄関ベルを押して訪問取材を申し入れようではありませんか。