私は、1977(S52)年に札幌市中央区から西区宮の沢へ引越しをしました。当時この地区は、手掘りの側溝のある砂利道ばかりで、その向こうには泥炭のジメジメした土地が果てしなく広がっていました。そこでは汚れた残雪がいつまでも融けず、その水は捌けて行かずに永遠に留まるかと思えました。
5月ともなれば、カエルがあちこちに卵を産みました。卵の中で少しづつ大きくなるオタマジャクシや蠢くボウフラやミジンコ、そして糸ミミズを時間を忘れて眺め続けました。
そんな悪条件の土地でも、やはり少なからず家が建っていました。
当然、それぞれが好きな方へよろめいていました。
片輪走行さながらの家もありました。
我が実家も立派に北側へお辞儀していました。
絨毯の上をビー球が転がっていく程でした。
だからなのか、よろめいた家を見ると懐かしいというか過去を見せつけられたような気分になり、つい見入ってしまうのです。