懐かしい風景

nostalgic/2020

小樽のカックカクモダン住宅

2020.06.26

小樽市富岡1丁目

解体
 以前、小樽へ田上先生の旧高田邸を眺めに行ったときに出会った住宅です。見応えのある建築が多い富岡1丁目付近を歩いていると、ひと際高い高台に何やら素敵な家が見えました。カックカクの外観に水平ラインを強調した壁を見て、あら?さっき見た高田邸に似た雰囲気だな、と思いました。
 良くメンテナンスされた外観、軒天も水平なところ、幾何学的な配置の窓にしばらくの間見入ってしまいました。表札もなく、玄関の壁に防犯対策を言うマジック跡があるから、もう誰も住んでいないのでしょう。歴史的建造物も良いが、こんな感じの小品もまた良いなと惹かれるものがありました。

 高台なので、日本海の向こうから昇る朝日を思いっきり浴びられるロケーションです。その頃、日当たりの悪いアパート暮らしに嫌気をさしていた私は、明るい食堂を欲していました。このポカポカした食堂でラジオを聴きながら食パンをかじる自分の姿を想像して、この家なら引っ越ししてみたいと思いました。しかし、毎日ここから会社に通うのはやっぱりしんどいよなあとも考えました。

 あれこれこんな思いを巡らせてくれた住宅でありました。


Top