懐かしい風景

nostalgic/2021

北海製罐 罐詰研究所

2021.02.07

札幌市西区宮の沢2条3丁目

1957年

「北海製罐50年のあゆみ」より

 現在の「白い恋人サッカー場」のところにあった北海製罐 罐詰研究所。これは広大な敷地の門のところにあったのですが、あとはどこまでも広がる緑の風景でした。社史によると、その緑はアスパラ畑だったようです。この東隣にあらわれるのは石屋製菓の菓子工場、そしてその隣に元園芸場だったと思われる大きな温室がありました。その温室の中には何故かアンティーク家具が隙間なくうず高く積まれていて、古道具好きだった私は登下校中に自転車を降りてじっくり眺めたものでした。今になって思えば、あれは先代石谷社長のコレクションだったのではないでしょうか。

 さて、この罐詰研究所を見てみます。薄っぺらいコンクリートの箱型で縦勝ちデザインの柱、そしてレンガの壁面が印象的です。緑色の敷地や手稲連峰を背景に赤レンガを対比させた姿が、牧歌的でありつつも形は近代的でシャキッとしています。上遠野徹先生はきっとこの建築を見たのではないでしょうか。3年後に手がけられた酪農学園本館のデザインにあたり、この建物からインスピレーションを受けられたと思うのです。そして「私ならもっと上手にレンガを魅せられる。」と考えられ、あの傑作が生みだされたと思うのです。
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