懐かしい風景

nostalgic/2022

VIVRE(ヴィーブル)

2022.01.04

札幌市中央区南1条西21丁目

解体

1984年

北海道建築総合研究所・企画はOさん

飛島建設

いまむかし札幌を歩く さっぽろ文庫別冊より

 バブル経済の華やかなりし頃、男性向けファッション雑誌が旺盛に出版されました。私も友人の影響で「ポパイ」を好んで読むようになりました。きれいなファッションに身を包んだモデルたちの背景には、古い街並みや開放的なテラスのある新しい建築なんかが写っていて大いに憧れました。それは新宿や渋谷ではなく、青山や代官山の風景でした。まあ実際には、ほとんど行ったことはありませんが。

 そのような洒落た街の雰囲気は、デパートへの買い物ではなく小さな路面店やセンスの似通った店が集う界隈へぶらりと立ち寄るといったことで醸し出されたと思います。

 このヴィーブルは、まだバブル前夜という1984年に裏参道を札幌にとっての青山や代官山と見做して企画された最初の建物であります。ガラスのトップライトが2層吹抜けのテラスを照らしつつ、1階と2階で会話のできるスケールが新しい時代を感じさせてくれました。また、辺りに残っていた大正時代や昭和初期の建物ともマッチした感覚が魅力でした。

 この建物に第2回都市景観賞を与えた札幌市、なかなかやりますね。電話ボックスさえも揃ったデザインに見えてきます。
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