懐かしい風景

nostalgic/2022

PARADE(パレード)

2022.06.07

札幌市中央区南2条西3丁目

現存

1987?年

フジタ工業 企画はOさん

フジタ工業
 ヴィーブルパスバイの企画をされたOさんの3部作、完結編。

 裏参道で話題をさらったOさんは、今度は都心の裏通りに注目されたようでした。パルコの裏通りに旗をまとって登場したこのパレードビルは、石畳風の路地の中にあってその存在を主張しました。数年して完成した五番館西武のA館とB館の間に生まれたレンガ敷きの中通りにも共通する色っぽさがありましたが、大変に心地良い空間でした。(今では五番館西武は解体され、パルコ裏から過去の香りは消えてしまいました。)

 さて、このパレードビルは前面ファサードが札幌軟石で仕上げられていました。札幌軟石に現代的な命を吹き込んだ使い方は、この建物がきっかけになったと思いますがいかがでしょうか?そしてここでは、昨今よく見る薄くスライスした札幌軟石を壁面に貼る施工法ではなく、厚みある材料のままで少し傾斜させた壁面に積んでいるように表現しています。これが重みや安定感を思わせ、正面だけにしか施さなかったことで端部小口に材料の厚みを見せたことは、まるで「積んでみました。」と説明しているようです。
 細く高く切り取った入口と、小さく穿った2つの窓の対比のメリハリが気持ち良いです。厚みある材料だからこそ効いているデザインだと思います。竣工時、左側は宮越屋珈琲で右側はジャンポールゴルチエだったように記憶します。石の窓を外から覗いた奥にアバンギャルドな服が格好良く飾られたゴルチエの店内や半地下にあったケンゾーの綺麗な色の洋服を見て、ヨージヤマモトやコムデギャルソンの終わりを感じたものでした。

 高校1年の時、TOKIO KUMAGAIから路線変更しケンゾーのトレンチコートを着こなして登校するクラスメートがいました。しかし、冬になる前から学校に来なくなって、そしてそのままついに現れることはありませんでした。K君、君は一体どこへ行ってしまったのですか?そして今、どうしていますか?
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