素敵な建築

suteki/2012

日本清酒の工場を見て、コンクリート仕上げを考える

2012.01.01

札幌市中央区南3条東5丁目

現存

1959年

日建設計工務 北海道事務所
 最近、小幅板型枠を用いたコンクリート仕上面を持つ建築を見かけることが多いです。その目地は、故意に出っ張らされて荒々しさを強調し、美しく木目の現れた面と対比されています。この目地の残し方に、つい目を凝らしてしまいます。
 残し過ぎたり、その壊し方の間の取り方を誤まると野暮に見えます。逆に手を入れすぎて、計算高さが見えてしまうと元も子も無くなってしまいます。その危険を避けようとする設計者の気遣いが見えてくるからなのです。
 しかしこの出目地は、コンクリート仕上の精度が低い時代に止むを得ず発生してしまうものではなかったでしょうか。それをわざわざデザインするとは、不要な作為という事になりはしないのでしょうか。

 ところで、コルビジェが計画したインドのチャンディーガルにある各コンクリート施設は、その仕上げの大雑把さゆえに存在感が強烈であると言われています。それらと同じ時期に完成した豊平川沿いの日本清酒工場を見ると、どうしてもコンクリート仕上面に目が行ってしまいます。

建物内側には、連続水平窓が。それと階段室の窓の美しさ

 やはりコンクリート打放面には、この時代独特の手作り感いっぱいな魅力に溢れています。へこんでいたり、曲がっていたりという跡に1から型枠を組んだ職人の匂いを感じます。

 現在の建築に、この様なハンドメイド感を故意に再現してみることも、やはり不要な作為という事に堕ちてしまうでしょうか。2012.1.1
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