素敵な建築

suteki/2014

札幌のケーススタディハウス

2014.12.08

札幌市

現存せず

Google mapより

Google mapより

かつて伏見にあったD邸。
傾斜地に刺さった平屋建てと見える外観が格好良く、憧れの住宅であった。
実際には2階建てなのであろうが、空中に浮いたバルコニーと跳ね出した深い軒が、浮遊感を演出している。
そして、軒下へダイレクトにはまっている大きな窓が、余計な線が入り込むのを拒んだ幾何学の美を物語っている。

1950年代のカリフォルニアに建ったケーススタディハウスのような、見て楽しいダイナミックな外観の住宅は、北海道大学の図学の教授でいらしたD先生の自邸であったということで合点がいった。

室内にはきっとイームズやジョージネルソンらの家具があるのではないかと、古物商のターゲット物件としても有名であった。
うっかり撮影を忘れているうちに解体されてしまったが、私のタイムマシンであるGooglemapのお蔭で画像保存できた。



ところで、D先生はコンクリート技術の第1人者でもいらしたようだ。
札幌で初めて発生(?)したコンクリートスラブたわみ事故の際も、その解決に尽力されたとお聞きしたことがある。
その事故は、昭和30年に竣工したSRC8階建てのビルが、昭和32年に12階建てに増築した後に発生したと伝えられていた。
たまたま見ていた昔の札幌の写真にその場面を目撃し、体が固まった。

「札幌・市電の走る街」 札幌LRTの会編 1999年より

 言い伝えには間違いがあった。
 正しくは、「SRC6階建てのビルが、9階建てに増築」である。
 証人さんは、そのビルが特定できないように故意に間違ったのか?

 今もその姿のまま建っている○○○○ビル。
 私も念の為、特定することは止しておこう。    2014.12.8
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