素敵な建築

suteki/2021

イケウチゲートの建設進む

2021.12.26

札幌市中央区南1条西2丁目

2022年

伊東豊雄建築設計事務所
 伊東豊雄さん設計のイケウチゲート建設現場に斜めの鉄骨が見えました。

 これらの傾いた鉄骨は、構造体でありつつ外部装飾のベースを兼ねるようです。そしてこれらが、建物内部に柱無しの空間を実現させるようなのです。このような設計の冒険心によって、札幌のデパートとしては初めての開放空間を味わえることになるそうです。

イケウチゲート外観パース(伊東豊雄建築設計事務所)ikeuchi group プレス発表より

 札幌には世界的ビッグネームの建築家の仕事が非常に少ないと思います。
 近代建築においては、坂倉準三さんの札幌パークホテル、黒川紀章さんの旧プリンスホテルや旧大同生命ビル、安藤忠雄さんの渡辺淳一記念館などが思い浮かびます。
 しかし、思ったほど話題に上らないのはなぜでしょうか。

 北海道の積雪寒冷という地域性のハンデが、暖房設備や断熱工事、そして対処するための部材や材料に予算を食われてしまったり、美しい細部の設計をあきらめなくてはならない状況を生んできたと思います。また、思いっきり腕を振るわせてくれる建築主が少なかったのではないかとも思います。このような事が、一般市民に建築の楽しさを知る喜びを醸成させてこなかったと言えるかもしれません。

 でも、新しいイケウチゲートのデザインにはこれまでの消極性を吹っ飛ばすワクワク感があります。今年もたくさんの素敵な建物が解体されましたが、一方では新しい建築の誕生に大きな期待がされます。

イケウチゲート外観パース(伊東豊雄建築設計事務所)ikeuchi group プレス発表より

 2022年8月、建設中のイケウチゲートから足場が外れました。オープンの日まで隠しておいてくれ~と思いましたが、まあそれは無理な話なのです。で、目の前に現れたビル外部に付いている構造体兼装飾体を見て、あら?と思いました。

 池内のプレス発表には、この構造体兼装飾体のことを「力強く成長する植物を想わせる」と説明されていたので、何か有機的な手触り感のある仕上げがされるのだろうと思っていました。ところがそれはコンクリートの打ちっぱなし仕上げでした。それもかなり奇麗なツルツル状態です。折り紙のように質量を感じさせなく、光と影の具合からも厚みを感じさせません。これらがこの建物を支えている物体とは全く見えません。私には植物という連想はできませんでしたが、コンクリート打ちっぱなしでも大変ありがたい気持ちになりました。
 オープンしたら、あの物体の内側がどんなことになっているのか確認しに行こう。
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