素敵な建築

suteki/2022

セラミックブロックの再評価を待ち焦がれる

2022.06.07

 かつて北海道農材工業で生産したセラミックブロックとは、良質の陶土・粘土を主原料として成型・乾燥・焼成されたブロックのことです。焼き物だけに湿気を吸収しないこと、空洞を活かして鉄筋の使用ができること、色彩も美しく永久的な材料であることが特徴とされています。これは1960(S35)年から新しい建築材料としての研究から考えられたもので、京大化研の技術指導を受けて製造したブロックを道立寒地建築研究所で試験を行った結果、大変優秀とお墨付きを得られ1964(S39)年より量産開始したとのことでした。


 このセラミックブロックには、無釉素地タイプと釉掛けツヤツヤタイプの2種があります。釉掛けしたツヤツヤ感は独特で主張が強かったので、気密や耐透湿に優れていたとしても実際に使うかと言われればちょっとね・・・と考える人が少なくなかったかもしれません。

 私も若い時はそう思っていましたが、こうして美しく住まい続けられているセラミックブロック住宅を見かけると、今となってはしみじみじっくりと見惚れてしまいます。その丈夫さもまた特別で、ノーメンテナンスで問題ないと思われます。住宅だけでなく公共物件にも多く見かけますし、交番や公衆トイレにも分け隔てなく採用されているのを見ると、当時のブームぶりがいかにすごかったのかと推測できます。
 建築の中央界で建築材料としての焼き物タイルが見直された1960年頃、北海道でも同時に独自の焼き物材料が生み出されたという事実を誇らしく思います。しかし、この材料も北海道の看板材料にはなりきれず、その評価や期待も徐々に下がってしまったようです。結局、建築費用も高上がりについたらしいこと、1969(S44)年より木造住宅にも融資がきくようになったこと、そしてやはり、間取り変更や改築のしにくさが、その原因となったのではないかと思われます。

 それでももう一度、セラミックブロック住宅のブーム復活が来れば北海道の地域性を考え直すきっかけになると思われ、そのような企画をしてくれる設計者が登場しないかと期待してしまうのです。
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