素敵な建築

suteki/2022

日本清酒 余市ワイン工場

2022.11.05

余市町黒川町1318

1974年

不明
 このところ屋根の形にとらわれています。美しいデザインでありつつ、雪を屋根に纏わせてなお魅力的に映る姿とはどのような形でしょうか。雪の降らない地域で実現可能な薄い屋根や鋭い屋根をそのまま北海道で実行するわけにはいきません。そうであれば、寒冷積雪地域のための機能重視の屋根にどのような美しさを与えることができるか必死に取り組む姿勢が、雪国の地域性を表現することになるのではないでしょうか?と、偉そうなことを書いてみましたが、この余市ワイン工場を見たことが屋根のあり方を考えるきっかけになったのです。
 初めてこれを見たとき、ボルサリーノ帽を少し傾けてかぶる大物政治家を連想しました。彼の着こなしの賛否は置いておきますが、この屋根の非対称な置き具合と傾け具合がとても格好良いと思ったのです。そして軒の角度と深さが、建築的ではないと感じました。軒天が赤く塗られているところもまたおしゃれな印象です。何というか洋装品のような扱いの屋根です。ファッション的なデザインであれば痛みも早くなるでしょうが、もうすぐ築50年になろうというのになかなか丈夫そうです。このようなデザインと耐久性の良さを両立させたバランス感覚にも惹かれました。
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