碑裏
昭和三十四年九月三日着工
昭和三十四年十月廿三日完成
函館ライオンズクラブ
函館東ライオンズクラブ
設計者 田上義也
函館市東川町 彫刻人 林貞蔵
歌碑は、碑石を支える御影石を大谷石で取り囲んだ構成となっています。そして、モルタル仕上げの地面に玉石を埋め、周囲をぐるりと鉄平石で縁取っています。私は、歌碑デザインの過程を下記のように想像してみました。
碑石は仙台石ですが、まず始めにこの石を使用するという条件があったと仮定しましょう。石川啄木故郷の東北地方にあやかって宮城県産の石ということだったのかもしれません。さあ、この石とどんな石を組み合わせれば良いでしょうか。この年4月、師匠フランクロイドライトが亡くなったという報せを聞いたばかりの田上先生、帝国ホテルの設計で使用した宇都宮の大谷石のことを思い出していたタイミングだったのではないでしょうか。北海道に来てから、しばらく使っていなかった大谷石。しかし、師匠追悼の気持ちもこめて、再び向き合い使ってみようと思われたのではないでしょうか。それが可能かどうか石工に尋ねてみると、大谷石採掘の機械化と全国へのトラック流通が始まったばかりだとわかり、「やってみましょう。宇都宮から運んでくる途中で碑石を宮城で積みましょう。」ということになったのではないかと思うのです。