ある日のこと、北海道樺太会館という建物が田上先生の設計によるものだと知り、カメラを持って現地へ向かいました。事前に地図を確認しますと、菊水から水車町へショートカットするときの抜け道沿いにあるらしいことがわかりました。田上先生の設計した建築に気がつかずにかすめ通っていたとは、迂闊なことでした。現地入りすると、なんと解体工事が終わろうとしている所でした。
どんな建物だったのか思い出すことも出来ず、写真も見たことがなく、本当に田上先生の作品だったのかどうかもわからないままとなってしまいました。この辺りは碁盤の目に区画割りされていなく、いわゆるリバーサイド特有の雰囲気を漂わせています。戦後、樺太からの引揚者がこの地域に集まったのでしょうか。ここに北海道樺太会館があったのは、そのような土地の理由があったのではないかと思われました。