「田上義也建築作品抄=’64」 住宅サロン社1964年より
年に1度は、更科源蔵邸がきちんと無事かどうか様子を見に行ってしまいます。小原邸はその途中、旭山公園通りから双子山へ登る小路を入ってすぐ、突き当りの曲がり角にあった住宅だったのです。
白い軒天井、ガラリで装飾された換気口、玄関上のパーゴラ、そして玄関周りの大谷石。その後の田上先生らしさを形づくるアイテムが小原邸で勢揃いしました。還暦を経て尚、それらデザインの完成度を上げていく田上先生。その集中力に恐れ入ります。
この住宅をかすめ通り過ぎていた当時、これが田上先生の設計とは気づけませんでした。しばらくしてこの住宅を作品集の中に見つけた時には、既に取壊された後でありました。