田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1961

植田邸B

tanoue/1961年

札幌市南区川沿4条

増改築あるも現存

大和工務店
 今日、南区の住宅街を走っていたら偶然「植田邸B」を発見しました。どうしても見たい住宅の1つだったので、思わず雄叫びをあげそうになりましたが何とか自制しました。

 竣工当時、中央では平屋の木造モダン住宅が最先端の格好良さを誇っていました。田上先生だって、その影響を受けずにはおれなかったと思います。この住宅に於いて、その北海道バージョンを実現しようとしたのではないかと推測されるのです。深くて薄い軒や分割デザインされた壁面、存在感のあるパーゴラに田上先生らしい個性が強烈に発揮されていました。

竣工当時 1961年

現在 2011年

北国の住まい6 より

 現在は、竣工時とは屋根の形が変わっています。恐らく、オリジナルの屋根勾配では雪が滑り落ちずにスガモリが発生したのではないでしょうか。新しく勾配をつけた屋根の途中に、換気口が4個見えます。既存屋根の上にわざわざ屋根裏を設けて、屋根面が温まらないようにしたのでしょうか。普通はこのような解決策を採らないで、屋根そのものを改造することが多いのではないでしょうか。しかしそうすれば、家の外観の印象が全く変わってしまいます。田上建築らしさは、ほとんどわからなくなってしまうでしょう。この住宅にお住まいになられているオーナーさんと改修を請け負った建築会社は、既存の建物に最高の愛情を注いでいると感じられます。歴史的建造物にならずとも、このように住まい続ける人がいるのです。私はこの姿勢に敬意を表したい。
Top