北国の住まい6 より
現在は、竣工時とは屋根の形が変わっています。恐らく、オリジナルの屋根勾配では雪が滑り落ちずにスガモリが発生したのではないでしょうか。新しく勾配をつけた屋根の途中に、換気口が4個見えます。既存屋根の上にわざわざ屋根裏を設けて、屋根面が温まらないようにしたのでしょうか。普通はこのような解決策を採らないで、屋根そのものを改造することが多いのではないでしょうか。しかしそうすれば、家の外観の印象が全く変わってしまいます。田上建築らしさは、ほとんどわからなくなってしまうでしょう。この住宅にお住まいになられているオーナーさんと改修を請け負った建築会社は、既存の建物に最高の愛情を注いでいると感じられます。歴史的建造物にならずとも、このように住まい続ける人がいるのです。私はこの姿勢に敬意を表したい。