田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1961

八雲町庁舎

tanoue/1961年

八雲町住初町138

現存

森川組

田上義也建築作品抄 1966年より

現在 2014年

 田上先生は、1961年に折り目正しい鉄筋コンクリート造の八雲町庁舎を設計されました。前年の岩沢邸とも共通する柱と梁の簡潔な構成です。庁舎建築で鉄筋コンクリートの端正な姿といえば、1958年の丹下健三さんによる香川県庁舎が頭に浮かびます。香川県庁舎の後、鉄筋コンクリートの柱と梁を用いて日本の伝統建築の木割りを想起させる手法は、モダニスト達の設計テクニックとして定着しました。田上先生も流れに乗って、ひとまわりも年下の丹下健三さんのテクニックを使ってみた、と思われます。屋上にある塔屋デザインにも香川県庁舎の香りが漂っていますが、大きすぎず程良く収まったようです。
 この八雲町役場は、現在も使われています。外壁が茶色に塗りつぶされたことには目をつぶれます。問題は、屋根の形状が変更され、水平ラインも消されたことです。オリジナルの屋根は上へ広がり大きくなるデザインで、その元ネタはライト先生がタリアセンウェスト時代に生み出したものと思います。田上先生は、平和な町民の精神とユウラップ川の流れ、内浦湾の静かな波のリズムをそのデザインに託したと説明されました。まさか、改修工事にあたって八雲町の「八」を採って屋根デザインを末広がりに変更したのでしょうか?ひょっとして、当たりじゃないでしょうか?

参考① 香川県庁舎の塔屋に注目!「伝統と創造展」より

参考② FLライト john・C・Peu邸 1938年

参考③ FLライト Rose&Gertrude邸 1939年

Top