カラーパース北海道ユース・ホステル協会20年史より
田上先生の戦後作品の代表の1つに数えたい北湯沢ユースホステル。2年前に出来た
支笏湖ユースホステルをさらに躍動的に組み立て直した独特の完成度が光っています。田上先生はこのユースホステルの設計意図を次のように説明されました。
「~設計は環況に順応しつつ、さらに環況を衝動して『その風土とともに呼吸する』と云う私の考え方を、このホステルは意図しているのです。プランは十字体系で、低く地に這ふような両翼の中央がホール、左に食堂、右に女子宿舎、其他がその中に収められていて、窓は前面の美しい対岸に打ちいだかれて全風光を招待している。またその中心の後部から、高く蒼空を切って突き上げて無限を思はせる切妻の環況を衝動している。そしてこの強靭な屋根の中に男子宿舎が収められている。幾何学的な構成は、風雪、大きな破風屋根は、この静寂を破って周囲の寒冷に対決し、いかなる台風にもビクともしないでしょう。この作品は支笏湖ユース・ホステルのピラミット型の一環としてのヴァレ-ションで、若く新鮮なホステラーの魂を生きと発映せしめる、北方的な造形として、南条先生の精神を盛ったものである。」