田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1962

T邸

tanoue/1962年

小樽市花園

現存

google ストリートビューより

 「田上義也建築作品抄 '64」に掲載されている「T邸」。小樽の高台のロケーションのようでしたので、それらしき場所をgoogleストリートビュー探索をして発見しました。真っ白なパーゴラと軒天、そしてベージュの外壁がとても美しく、住み手の律儀さが溢れ出ていると思いました。これで真っ赤なトタン屋根が朝露に光ると完璧であります。植田邸Aをこじんまりさせたような外観が1960年~62年の間の作品と考えられ、貴重な住宅作品と思われました。

 後日談・・・
 遂に現地確認を実行しました。細い道路が入り組んだ奥にその正面の姿が見えてきました。この住宅を目の当たりにし、とても大事に美しく住まわれている様子が私の血圧を高めました。ここぞと決めた撮影場所でカメラの準備をしますが、緊張で手が震えてきます。そうこうしているうちに玄関扉が開き、奥様と思しき女性が私の傍を歩いて出掛けて行かれました。突然の出来事に声も出なくなり、カメラを電柱の鳥に向けました。これは、藤森照信さんに習った行動であります。

 実際には、壁面は薄桃色と濃茶色に塗分けられていて、白い軒天との対比に見惚れました。大屋根の上にはプレイリー風のとんがり屋根がちょこんと顔を出していました。冷却窓付き軒裏換気口は幾何学模様にガラリ格子で組まれていました。細やかな木部材が全く痛んでいないように見えるのは、Tさんの面倒見が良かったからなのか、それとも新しくやり直したからなのでしょうか?内部の方は一体どうなっているのだろうかと想像が膨らみ、いつの日にかの訪問を夢見るのでありました。
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