1963年、万世閣は洞爺湖畔にＲＣ造６Ｆ建ての立派な「ホテル万世閣」を建設しました。そしてほぼ同時に、別館としてこの「第二万世閣」も建設したのですが、これが田上先生の設計なのでした。シンプルなＲＣラーメン構造の外観の中、あみだくじ状のサッシ割のある大きな窓が目を引きます。このホテルは格安料金プランの宿で修学旅行生の受け入れも行っていたとのことです。1966年に「第一ホテル」と改称した際には洞爺湖初のゴーカート場も準備し、子供連れの宿泊先として人気を博したそうです。

　しかしほどなくして、1969年に北海道コカ・コーラボトリングに売却され、同社はこれを改築して洞爺保養所としてオープンさせました。改築によって田上先生らしさのあるデザインは消えてしまったようで、いつのことなのか解体され、現存しません。