「田上義也建築作品抄=’64」 住宅サロン社1964年より
北海道銀行常務取締役 辻村朔郎さんの住宅。
支店建築の他、多くの支店長住宅や行員アパートも手掛けられた田上先生。原朋教さんの「田上義也の戦後期の建築活動」(末注①)によると、北海道銀行の役員施設と考えられるとあるので、一連の福利厚生物件のようです。
「北国の住まい 第5集」に「コーニスが印象的なTさんの家」と紹介された辻村邸へ寄せた田上先生のコメントには「2階の隅にボクの書斎をつくり、その隅に窓を大きくあけてくれませんか。そこからモイワ山容がみえるから」と施主の希望があったとあります。
銀行の福利厚生施設としてこの住宅が建てられたのならば、それは銀行のもの。だから、1番最初に住むとはいえ、住まう人の要望が取り入れられることはないはずです。ひょっとすると、役員のための福利厚生とは、会社経費で個人住宅を建設することなのかもしれません。