田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1963

島邸

tanoue/1963年

札幌市豊平区・・・以降不明

恐らく現存せず

「新住宅 1964年8月号」「北国の住まい7 建設情報社1967年」より

 招き屋根を重ねて「二重奏の家」と名付けた美しい家。ブロック造としながら、アピトンやラワンで優しい外観に仕上げてあります。玄関周りと門柱はザラついた大谷石貼り、テラスにはいつものパーゴラが立ち、フルコースの田上先生らしさに見応えを感じます。

 ある日、この住宅が月寒公園付近に建てられたという情報を聞きつけました。しかし、公園の周囲に広がる道路をカーナビの走行履歴で埋めるように走破したものの、辿りつくことができませんでした。恐らくもう残っていないのだろうと、探索をあきらめました。

 1969年の寒住法の施行まで、木造住宅建設のための融資は行われなかったそうです。ですから、この住宅の施主である島さんは、融資対象のブロック住宅で自分の家を建設することにしたのでしょう。この住宅の外観を眺めますと、島さんはブロック造でありつつも木造の味を存分に感じさせる設計を田上先生に求めたのではないかと思われます。

正面の姿「新住宅 1964年8月号」「北国の住まい7 建設情報社1967年」より

竣工時 1963年 (門扉が素敵)「新住宅 1964年8月号」「北国の住まい7 建設情報社1967年」より

1967年 庭木が茂った「新住宅 1964年8月号」「北国の住まい7 建設情報社1967年」より

 大学教授という島さんの住宅には、来客が多かったそうです。応接間と居間の間のアコーディオンカーテンをたたみ、隣の和室のふすまを引込めば、ペチカを中心に据えた大空間の完成と相成ります。小住宅ですが、賑やかだったろう雰囲気が想像されます。

居間「新住宅 1964年8月号」「北国の住まい7 建設情報社1967年」より

応接間「新住宅 1964年8月号」「北国の住まい7 建設情報社1967年」より

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