田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1966

愛衆ビル

tanoue/1966年

札幌市中央区南8条西3丁目

現存せず

「リアルタイム北海道の50年 すすきの風俗編 上」 財界さっぽろ 2013年より

 「あのビルには、札幌に初めて登場したピンク店が入っていたよ。」
 愛衆ビルの事をいろんな方に尋ねてまわり、やっとの事で掴んだお話です。ですが、ピンク店だったよと言われて性的な響きと田上先生とが結びつかず、頭が混乱しました。

 「田上先生が風俗店の建物を設計していたとは・・・。愛の衆だけになあ。でもまさかなあ。」と思いつつ、愛衆ビルの事はしばらくそっとしておきました。


 ある日、こんな昔話を読みました。

 愛衆ビルとビル内のクラブや小料理屋、そして宝石店のオーナーであったススキノマダムが1町北側に新しく「透青ビル」を建てました。しかし、白石農協に融資してもらった借金がとうとう払えなくなってしまいました。両物件とも差し押さえられ、競売されてしまったというのです。

 その後、日本中を席巻していたピンクキャバレー「ハワイ」を経営する東京の南洋観光が札幌に店を出すにあたり、愛衆ビルに白羽の矢を立てたという訳だそうです。


 残念ながら、この写真から田上先生の匂いは感じとれません。ハワイに変わる前の愛衆ビル時代の外観を見るのが叶わないのなら、せめてピンク店時代の姿でも良いからもっと見てみたいです。店のオープンは1974年12月10日であることを頼りに、当時の広告でも漁ってみましょうか。もしくは当時のこの界隈を知る世代の方々に、札幌初の激安濃厚サービス店の思い出話を語ってもらうとしましょうか。
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