裏の和室側からのペチカ (少しさみしい)「北国のすまい7」建設情報社1967年より
若夫婦が居間でくつろぐ時、老夫婦は隣の和室で過ごします。通常、ペチカは台所との間仕切りとして設置されることが多いです。余った熱でお湯をつくることができ、台所の横にあることの方が便利だからです。しかしこのS邸では、居間と和室の間の壁に仕込まれていましたので、冬でもプライバシーを保ちながら両世帯が効率的に暖まることができたようです。
親子の間に壁を立てつつ、そこにペチカを置くというテクニックでさりげなく「プライバシー」を獲得したSさん。奥さんを気遣ってのことなのでしょうが、そこまでして2世帯で住まなければならないことに心が痛んだのではないでしょうか。互いを干渉せずに2世帯で暮らすという住宅が生まれ始めた時代の苦悩が、ほのかに感じられるような気がします。サザエさんのような婿入り2世帯住宅とは重みが違いそうです。