北３条通りに面して建っていた事務所兼住宅。陸屋根や張りだしたバルコニーのデザインに、どうも気になる建物だなあと思っていました。

　ある日の事、フランクロイドライトの作品集を眺めていましたら、この家とトーマス・ゲイル夫人邸がそっくりなことに気がつきました。ということは、やはりこれも田上先生の設計なのではないか。そのような疑いが芽生え始めた頃に入手した田上先生の伝記「北のまれびと」の中に、この家が田上先生の作品として載っているのを見つけてしまったのです。

　もちろんその翌日は、本を持参しつつ見比べるように鑑賞しました。そうしましたら、玄関に居座ったコンクリート製の花台に目を奪われました。これに似たものもまたライトのロビー邸や帝国ホテルにもあったのです。そして、師フランクロイドライトの影響からどうしても逃れられない田上先生の心を想うに及んで、巨匠ライトの偉大さと弟子としての田上先生の愛を思い知らされるのでした。

　このシャルフェーフ商会は２０１９年に解体されました。詳細はコチラ。