田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1969

森邸

tanoue/1969年

札幌市中央区伏見

現存

真鍋組

北国の住まい 第10集より

 上記の写真をポケットに入れ、森邸を捜し歩いた日々を思い出します。
 営業外回りで坂のある住宅街に行くときは、アンテナを立てキョロキョロ見回したものです。いや正しくは、この家を探しながら営業外回りをしたというほうが本当かもしれません。まあ、どっちでもよいことですが。
 
 この角度で初めて出会ったときには、すぐにピンとは来ませんでした。しかし、オヤ?ひょっとして?と近づいていくと、やっぱりあなたじゃないですか!となったのです。
 雪庇防止の目的なのか、妻側の屋根は後の改造で立ち上げたようでした。擁壁のような塀のデザインもずいぶんと重々しくなっています。竣工時とはずいぶんと変わっていたので、すぐには気がつけませんでした。

 この重厚な住宅、鉄筋コンクリート造と思いきや木造なのだそうです。アーチをかたどった鉄筋コンクリート造のような厚い外壁は、サッシに覆いかぶせたデザインとなっています。こうすることでデザイン度を高めているわけですが、ひょっとするとサッシの交換はほとんど無理ということになっているかもしれません。

北国の住まい 第10集より

 室内もアーチの装飾で統一され、壁紙にはストライプの柄が選ばれています。クラブのようなソファやホームバーカウンターのあるダイニングを見ますと、パイプを咥えたガウン姿のご主人が登場しそうな気配を感じます。

北国の住まい 第10集より

Top