昨年に解体されてしまってからというもの、その魅力がじわりと沁みてきている定山渓ニューグランドホテル。

　初めてこの建物を見たとき、正直言ってあまりカッコいいとは思えませんでした。
　本家の定山渓グランドホテルから川をはさんだ山裾に、
　古宿の定山渓ホテルをかすめる側道を進んだ奥にこっそりと、
　ホテルとしてはいささか小さな敷地にチョコンと立っている様子を見るにつけ、立地の弱さも気になりました。

　それでも何故か独特の魅力が私を惑わせてくれました。

　札幌冬季オリンピック前年に完成したこのホテルは、選手村マンションにも似た雰囲気です。ホールや宴会場、浴場のフロアをキュッと絞ったために頭でっかちと見えそうになる危険を足元の複雑なデザインでバランスをとったのではと見えてきます。

　この足元がデザインのキモなのではないでしょうか。
　階段を登ってホテルエントランスにアプローチさせる方法、折り返すもう一方側は日帰り入浴専用だったのでしょうか。縦方向デザインなホテルだけに、ホールから上階への宴会場にかけてスキップフロアをかけながら展開させる立体空間は外部から続くデザインですが、大事なその部分の撮影を逃してしまいました。

　こんなことも忘れ難い原因になっているようです。

参考　2011年の宿泊体験