サブプレスセンター 鉄骨造・木造「札幌オリンピック施設」 札幌オリンピック施設編集委員会 1971年
札幌冬季オリンピック景気に沸いた建設業界。
沢山の施設が計画されましたが、本州資本の大手組織事務所や市内の新興事務所がほとんどの案件を押さえ、幾つかの道外組も狙った獲物を一本釣しました。その中で、田上先生は唯一市外に計画された恵庭岳のアルペンコースに付帯する各施設を獲得されました。
この恵庭岳滑降競技場は、オリンピック閉会後に再び自然へ復旧されるという条件で計画が始まったそうです。計画段階から解体を待つという建築。ほんの一瞬、かりそめに存在するという儚さ。古本でそれを知った私は、体の一部が火照ってくるのを感じるのでした。
鉄筋コンクリート造の建築が多勢を占める中、
木造物件を狙って田上先生が獲得されたのか、
田上先生にも何か一つという配慮が働いたのか、
田上先生が、道内の若手にメイン施設を譲ったのか、
設計計画の獲得競争にどんな裏話があったのか、あれこれ想像をめぐらせてしまいます。