田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1971

三菱石油トレーニングセンター

tanoue/1971年

札幌市白石区本通6丁目北4-1

2018年7月解体
 怪しい臭いをプンプンさせているENEOS本通6丁目店。このガソリンスタンドの前を通るたび、サービスステーションの後ろに控えた丸く大きくせり上がる軒と天辺の丸い塔が、私にミテミテ光線を発射してくるのでした。

スタンド左側から

裏へ廻って

スタンド右側から

 ダイナミックな軒は、ロンシャンの礼拝堂をモチーフにしているだろう事は間違いありません。しかし、塔のデザインはどこから来ているのでしょうか。あらためてロンシャンの礼拝堂の写真を確認し、体が固まりました。

ロンシャンの礼拝堂

その後姿

 これは再確認に行かねばならないと、ENEOSカードを持って給油へ向かいました。
 「昔、三菱石油のトレーニングセンターでした。」というスタッフの方にロンシャンの礼拝堂の写真をお見せすると、建物と照らし合わせながら目を丸くしました。御案内頂いた塔のふもとで、その壁が意図的にざらつかせた仕上げになっているのに気がついて、手触り感まで追求していたのかと唸りました。
「今はもう使われてないし、見るべき所は無いと思うんですが。」というスタッフの方と共に中へ入りました。階段室だった塔内を登り、役員室と思しきドアを開けると、目の前に厳かな光景が広がりました。思わず、ひざまづいて手を合わせました。

役員室のドアを開けるとロンシャン窓が登場したのです

 丸くせり上がった軒は、現在は白く塗装されています。その軒は、竣工当時はきっとコンクリート打ちっ放しで、白い外壁と対比されていたでしょう。今あるサービスステーションの屋根も当時は無かったはずで、そうだとすれば、道路から見上げた軒下の壁に色とりどり、形様々のロンシャン窓が輝いていたに違いありません。

 その姿を眺めた時の感動は、想像するしかありません。
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