現在 2011年
深い軒と壁面の分割デザインをしげしげと眺めていたら、基礎に段差があることに気がつきました。これはスキップフロアの空間があるに違いありません。
フランクロイドライト先生の下、帝国ホテルの設計スタッフとして伸びやかな空間造りを学んだ田上先生。しかし北海道では、提案しても施主に理解されなかったのか、かさむだろう暖房費を心配したか、せっかくの経験を活かす機会に恵まれてこられませんでした。ようやく断熱レベルが上がったこの時代になって、傾斜地案件のS邸の仕事が舞い込んだようです。
こうして、玄関ホールの床レベルに応接室や書斎そして寝室を配置し、半階下りて居間・食堂と水回りを、半階上がって洋室3部屋を、これらを取り巻く吹抜ホールという立体空間の完成と相成りました。