田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1971

S邸

tanoue/1971年

札幌市中央区宮の森4条

現存

牧内組

竣工当時「北国の住まい11」 1971年

現在 2011年 

 深い軒と壁面の分割デザインをしげしげと眺めていたら、基礎に段差があることに気がつきました。これはスキップフロアの空間があるに違いありません。

 フランクロイドライト先生の下、帝国ホテルの設計スタッフとして伸びやかな空間造りを学んだ田上先生。しかし北海道では、提案しても施主に理解されなかったのか、かさむだろう暖房費を心配したか、せっかくの経験を活かす機会に恵まれてこられませんでした。ようやく断熱レベルが上がったこの時代になって、傾斜地案件のS邸の仕事が舞い込んだようです。

 こうして、玄関ホールの床レベルに応接室や書斎そして寝室を配置し、半階下りて居間・食堂と水回りを、半階上がって洋室3部屋を、これらを取り巻く吹抜ホールという立体空間の完成と相成りました。

居間から応接室「北国の住まい11」 1971年

 しかし空間の連続性は、リビングと半階上の応接室をつなげるだけに留まったようです。やはり、間仕切り無しの大空間よりも各個室のプライバシー確保が勝ったのかもしれません。

 それにしても、竣工当時の美しい外観を維持された様子を拝見するに、お住まいの方の愛着が伝わってくるのです。

2014年 美しい後姿にうっとりしました

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