18禁建築

18kin/2018

建築の傾いた見方

2018.12.07

 もしも、建築デザインと権力が結びついたらどうなるでしょうか?

 ①異常なほど大きな建物で威圧する。
 ②中央に塔を抱いた左右対称型の外観で、眺める者に序列を意識させる。
 ③高価な材料で贅をつくし、見る者をひれ伏せさせる。

 この方法以外にもう一つ、じわりじわりと感じさせるテクニックがあるそうです。繰り返す鼓動音、パッパッパッと点滅する光、延々と続くお経・・・を聞いたり見たりした時に感じる陶酔感。連続するデザイン、特に柱型を並べると、見るものに似たような効果を与えることができるということです。

1938年 第一生命館 (設計 渡辺仁)

 太平洋戦争前夜に竣工した第一生命館は、その例えによく登場します。金融・保険会社のファサードデザインには何故かこの手合いが多かったですね。そして、札幌もまた例外ではないのです。

農林中央金庫 札幌支店 1959年

 この建物を見るとクラクラっとするのは、どうもそういうことらしいのです。連続柱型デザインの建物で札幌駅前通りと大通公園沿いを埋め尽くされたとしたら、と想像をしてみましょう。「極東の地 サッポロ!!」といういかつい原色ロゴの入った観光ポスターが良く似合う街としてです。


 ニュースでよく見るある国の風景のようにすれば、軍事パレードで観光収入を獲得できるかも知れません。
 悪い冗談はさておき、この農林中央金庫札幌支店が解体を待っています。さあ解体前にもう一度眺めに行き、陶酔感に浸ろうではありませんか。

 ところで、第一生命館は戦後、GHQ連合軍総司令部庁舎として接収されたそうです。マッカーサー総司令官も建築デザインの力をよく理解していたと思われるのです。
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