18禁建築

18kin/2021

モダニズムと廃墟の親和性 深川温泉観光ホテルとセントラルボウル

2021.04.06

深川市音江町豊泉3

1964年
 柱と梁を明快に表現したモダニズム建築の醍醐味とは、飾りを排除した骨の魅せ方と言えましょう。しかし、骨の姿には死の影が忍び寄ります。ですから、廃墟とモダニズム建築は裏表の関係であって、闇を好む廃墟マニアの心の裏側には健康的な明るいモダニズム信仰が宿っていると私は思っています。

 さて上掲画像の施設は、国道12号線を札幌から旭川に向かって走る際、深川市をかすめ通る時に見える風景です。ひと気のない雰囲気は、メインエントランスがベニヤ板で塞がれているところを見なくても伝わってきます。ですから私は、この廃墟は解体費用を捻出できずに長年放置されているのだろうと思っていました。
 しかし、ほんのわずかに人の匂いがすることに気がつきました。
 小さな入り口に、かすかなネオンの電飾が灯っています。
 ところが、そのかすかな具合は、活き活きとした生命の光とは見えません。
 この入り口の先は、ひょっとするとあの世の浄土なのではないでしょうか。

 私にはこの世にまだやり残していることがあるからと、後ずさりして現場を離れました。


 家に帰って調べてみれば、深川市民には無くてはならないアミューズメント施設なのでした。
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