「新建築」 1963年12月号より
路面独立店舗の拓銀恵庭出張所。いつもの設計姿勢より肩の力を抜いた未来志向の形がとても楽しい印象です。拓銀は個人相手の預金量を伸ばす施策を強化しはじめる頃で、上遠野先生がそれを意識した流行デザインに寄っている所も珍しいと思います。
正面のメイン入口には、まるで宇宙船にでも乗り込むようなワクワク感があります。屋根の上には、ガラスで組み立てられた背の高いピラミッド型のトップライトが4つ並んで目立っています。坂倉準三さんによる1961年の
塩野義製薬研究所にもそのようなトップライトがありますが、とりあえず省きます。そのトップライトには色電球が仕込まれていたそうです。まさか、色とりどりで点滅していたということはないでしょうが、内部をカラフルにするためだったのか、夜間の広告照明になったのか気になります。入口の上で透明ガラスに銀行ロゴが切り文字でサインされている様子も、かなり尖がったセンスではないでしょうか。