広い敷地なのに塀がありません。足元に細い丸太製の柵がついているだけです。つくりこまない自然な庭が広がり、その奥に山小屋風の大きな家がありました。土の匂いが漂い、親しみやすい雰囲気にあふれていました。

　この家が「サカモトチョッコウ」さんの家だとわかったのは、ずいぶん後になってからでした。それが田上先生の設計によるものだと知って、更に驚きました。田上義也といえばフランクロイドライト風と思い込んでいた私は、この住宅をきっかけに他の田上作品も見てみたいという欲求に囚われてしまいました。そうして、今も抜け出せずにいるのです。