田上 義也 作品アーカイブス

tanoue/1971

T邸

tanoue/1971年

札幌市西区西野8条

現存
 田上先生の煙突の頂部には「陣笠」が被さっていることが多いです。先生が採用される「陣笠」は、両脇を天に向かってキュッと折り上げたデザインの物が多い、とホッケン研のハッシーが教えてくれました。
 それからというもの、これを見つければ田上作品に出会えるのではないかと、「陣笠」ばかり見て歩く癖がついてしまいました。思惑通り、その一環で見つけた「T邸」。獲物を求める執念での発見に、私の自尊心は大いに満足したのであります。

T邸の陣笠

 陣笠以外の大きな特徴は、外部に現れたらせん階段です。唐突な感じも受けますが、いつも脇役の扱いを甘んじなければならない階段に光が満ち溢れるのですから、ちょっと新鮮な気分です。問題は、このカタチであります。

 このデザイン、後に住宅建売業者によってお城風の外観のネタに応用されました。そして階段室が少女趣味の溢れたロマンチックな塔風に強調されました。欧米文化に憧れの強い団塊世代の女性たちに、大いにウケたのではないでしょうか?

1970年代のロマンチック洋風建売住宅例 (富丘や宮の沢に多く見かけます)

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